アレックスは気を取り直し、先ほど守護天使に取ってやった瓶が置いてあった隣。
同じラベルの瓶を手に取り、買い物を済ませ外に出る。
気になって辺りを見回しては見たものの、もう守護天使の姿はどこにも見当たらなかった。
多少もやもやするものは残るが、それ以上の詮索をしても……そう思い、本来の行き先へとアレックスは足を向ける。
頼まれた酒瓶と一緒に抱えていた紙袋から甘酸っぱい香りが微かに零れ、アレックスの口元がゆるんだ。
(早く届けてやろう)
足早に街道を進み、最近ではすっかり見慣れた小さな路地へと入る。
路地の奥。
下り階段を降りて、その先にある鉄の扉へ手をかけ、ゆっくりとドアを開けた。

