DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>



何度も声をかけようと思い。

そのたびに言葉を飲み込んできた。

今もまた、声がせりあがってくるのを

(ガラス越しに二階から中庭までは声は届くまい)

そう言い訳して押さえ込む。

クロードの視線に気付いていないのか、ずっと一点だけを見つめ立ち続けるラファエル。

その視線の先で



――バサッ



一際大きく揺れた木の葉の陰から飛び立つ鳥。

まだ飛び慣れぬのか、おぼつかない曲線を描きながら……

だが上へ上へと飛んで行く小さな鳥。

それを見る翡翠の瞳が細められた。