何度も声をかけようと思い。 そのたびに言葉を飲み込んできた。 今もまた、声がせりあがってくるのを (ガラス越しに二階から中庭までは声は届くまい) そう言い訳して押さえ込む。 クロードの視線に気付いていないのか、ずっと一点だけを見つめ立ち続けるラファエル。 その視線の先で ――バサッ 一際大きく揺れた木の葉の陰から飛び立つ鳥。 まだ飛び慣れぬのか、おぼつかない曲線を描きながら…… だが上へ上へと飛んで行く小さな鳥。 それを見る翡翠の瞳が細められた。