DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>



今朝方届けられた真新しいその封書には。

リチャード王の容態の更なる悪化が記されていた。

「まだ……まだです……父上」

その命がまだあるうちに救い出さねばならない。

そう自らに課していたことをクロードは思い、唇を噛む。

時間はもうあまり残されていない。

伏せられたクロードの瞳に影が降りる。

静かに卓上に並んだ二通の書面を引き出しにしまい、ゆっくりと息を吐き出す。

アレックスが休暇を願い出るとは全く予想もしていなかったが、丁度良かったのかもしれない。

決断するべき時は近い。

彼は彼で負うものがある。余計なものまで背負う必要はない……

(出来るだけ遠くへ行くといい)

自分と似てると感じた、いつかくだけた友人になれればと願った青年のことを思いながら。

閉めた引出しの鍵をかけ、クロードもまた、部屋を出る。