DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>

(―2―)




「休暇? 珍しいね君がそんなこといってくるなんて」



――アルマ


中央司令部二階にあるケルベロス本部。

思わぬ人物の思わぬ申し出にクロードは口元に笑みを溢した。

「すみません」

クロードの机の上に休暇届を差し出したその人、アレックスは短く云い、机から一歩下がり姿勢を正す。

「もちろん構わないよ。君は今まで休暇をほとんどとってないから……休みは随分余ってるし」

過酷な任務が多いケルベロスの隊員たちには、他の一般兵に比べてやや多めの休暇が与えられている。

それを使うか使わないかは隊員たちの自由に任せられているのだが……

過去にクロードのほうから休暇をとるように言い渡したことはあっても、アレックスが自ら休暇を申請したのは初めてのことだ。

差し出された届け出に快く判を押して、クロードはそれを受理した。