DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>


ファーレンを押しのけ、窓際を占領したウリエルが身を乗り出すようにして外を見つめている。

何事かと、ウリエルの背後にまわり灰色の頭越しにファーレンも覗く。

二人の視線の先。

リディル要塞から数キロ先、要塞からやや下った位置にある星屑のような灯りの塊。

ディラハンが野営を敷いているその場所で異変は起きていた。

「おや?」

ファーレンもすぐにそれに気付く。

ぽつり、ぽつりと。

灯っていた火が消えていく。

かと思えば時折り大きな火の塊へと変貌を遂げる。

異変はじわじわと、スピードを増しながらディラハンの陣営で広がっていく。

「何してるんだ? あちらさんは?」

呟くファーランの前でその様を見ていたウリエルの瞳が赤く偏光した。

数日間、夜通し消えることなく整然とちらついていた灯り。

急に乱れたそれの原因を探る。