仮にも中隊を預けられて、王妃直々の命で此処まで来ておいて。
なのにファーレンは一切戦闘に加わらないという。
ウリエルは訝しげな表情を浮かべながら鎌を再び手元に引き戻し
「……お前、変な奴」
ぼそりと呟いた。
そう。
何故かファーレンは初めて任務を共にして出会ったときから、ずっとこんな調子だ。
守護天使と共に任務を行った兵は、皆、畏怖するかのような表情を見せる。
畏れながらも感嘆の意を見せるか。
畏れが勝ち、目を伏せるか。
そのどちらかなのに……
ファーレンは一度もウリエルにそんな態度を見せない。
ずっと変わらぬ飄々とした態度。
「僕が怖くないの?」

