ウリエルとファーレンの二人を残し、勢いよく閉められたドア。

よっぽど怖かったのだろう……おもいのほか大きな音が響き、ウリエルは顔をしかめ

「……腰抜け……」

ぼそりと呟く。

それを聞いたファーレンは苦笑を浮かべた。

「そりゃあね……そんな物騒な、みるからにおっかない武器つきつけられちゃね~。新米さんには刺激が強すぎるでしょう?」

ウリエルの手に握られた武器。

鎖を垂らした細く長い柄の先には、先端に向かい湾曲し、鋭利さを増して黒光りする刃先。

ウリエルの半身を超すほど大きな刃を持つ、鋼鉄製の鎌。

髪と瞳同様、灰色の外套をまとうウリエルがそれをもつ様は、確かに天使と言うよりは死神といったほうがしっくりくる。