兵士を恐怖の淵から救い出した笑顔の持ち主は、その笑顔によくあう明るいオレンジ色の髪をした青年。
「ファーレン・バラシュ……」
ウリエルはその青年の顔を知っていた。
苦々しげにその名を呟く。
そんなウリエルの更に不機嫌さを増した表情にもおかまいなしに、ファーレンは兵士の肩に軽く手を置き
「ご苦労様。初めから自分でくればよかったな……すまないね。怖い思いをさせて」
下がってよいと、目で促す。
「い……いえっ。失礼しますっ」
兵士はファーレンにむかい、すばやく敬礼をすると、そそくさと部屋を出て行った。

