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「それで、どこへ行くんだい?」

テーブルの上には先ほど鞘にしまった剣が再び抜き身で置かれている。

それを目の前にして、シルバが入れてくれたスープをすするルシフェルは、スプーンを動かす手を止め

「リディル峠へ」

ルシフェルが持ち運びやすいよう、肩にかけれるようにと、鞘に皮具を取り付けてくれているシルバに答えた。

「リディル……要塞があるところだね。エルカイザの最西端、ディラハンに最も近い場所」

ルシフェルの答えにゆっくりとシルバは頷いてみせる。

「……わたしは、全ての元凶をなくしたいと思ってる。やらなきゃいけないことは沢山あって、正直どれから手をつければいいかもわからない」

スプーンをテーブルに置き、ルシフェルは続けた。

「だから、まずは見えるところから出来ることを……リディルの国境を挟んで、ディラハンの兵が沢山集まってるらしい。

エルカイザも要塞の守りを固めてる。

……守護天使が一人派遣されたって噂を聞いた」

森を抜け出し、戦場後を巡る傍ら、近隣の町で聞いた噂。それは大きな戦いの前触れだと直感した。

守護天使の派遣。

自分と同じ、戦闘人形が行くということは……多分、否、確実に沢山の血が流れることを表わしている。