一気に身体の力が抜けるような感覚が襲い、ルシフェルの上体が揺らぐ。
片手で剣を持っていたシルバが、それを支えるように、開いた片手でルシフェルの肩を抱いた。
「シル……バ……」
ようやく声を絞り出す。
(知っていた……)
シルバは、何も言わずとも全てわかっていたのだと知り、はりつめていた糸がぷつりと切れる。
「最近戦場へ足を運んでることも、しょちゅううなされてたことも知ってる……君が考えてることくらい僕がわからないとでも?」
「でも……じゃあ……」
それならば何故剣なんかを渡そうとするのかと、疑問の声をあげるルシフェルの肩から手を離し
「大丈夫。いいから、抜いてごらん」
再び剣の柄をルシフェルに向け、シルバは促す。
ただただ静かな色を湛える紫の瞳にじっと見つめられ、抗うことは適わず、ルシフェルはおそるおそる剣を鞘から引き抜いた。

