「シルバ……ありがとう……でもその前に話が……」
ぐらつきそうになる気持ちをこらえ、ルシフェルは口を開いた。
もう決めたことだ。変えることはできないのだから……
ならば少しでも早く、つらい時間は終わらせてしまったほうがいい。
「ああ、そうだ」
だが、話そうとするルシフェルを遮るようにシルバが声をあげた。
「そうそう……君が帰ったら渡そうと思ってたものがあったんだ」
そう言っておもむろに竈から離れ、テーブルを前に佇むルシフェルの脇を通りすぎ、入り口脇、部屋の隅へと向かう。
自然とシルバの動きを目で追い振り返ったルシフェルは、シルバが向かったそこに何かが立てかけられてることに気付いた。
茶色い布を掛けられた、シルバの胸元ほどの高さの縦長の何か。
「多分、今の君にとても必要なもの」
布に手をかけルシフェルを振り返り、シルバは微笑むと、掛けられた布を持ち上げた。

