DARK†WILDERNESS<嘆きの亡霊>

(―3―)





目の前にそびえる石の塔。

今までここで過ごした日々を考えてるうちに、何時の間にかたどり着いていた。

ひとつきりしかない木の扉を開け、螺旋状に上へと続く石の階段を上る。

此処で過ごした時間は、ルシフェルにとって本当に心休まるもので。

今となっては、五年の月日、昇り降りを繰り返した階段の壁に入る、見慣れた小さなヒビの一つ一つにすら愛着を感じる。





そう、ここを出ることを決めた今となっては……





居心地の良い此処を出て。

シルバと離れる。

今からそれをシルバに告げねばならないと思うと気持ちが沈むのを止めることはできない。

でも、それでも。

決意を変えるつもりは毛頭ない。

そうしてしまえば、ルシフェルは二度と自分を許せなくなるだろうことも、充分過ぎるほど承知していた。