震えを止めようと、両手で自らの身体を抱きしめるルシフェルの頭に、そっとシルバの手が置かれた。
「……でも、今は……違うのでしょう? 君自身が一番それを恐れているのが僕にはわかる。だから……君は怖くない」
その時、ルシフェルは涙を流さずにいられなかった。
あの時……戦場で殺戮の限りを尽くした後。
我に返り、たったひとり生き残った子供を救おうと無心で走り、駆け込んだ教会にいた若い牧師を思い出す。
罪を告白したルシフェルに牧師が言った言葉が、何故かシルバの言葉と重なった。
牧師はルシフェルに
『あなたは自分の罪の重さを知って悔いて、苦しんでいる……神は悔い改める者を見捨てはしません』
そう言ってくれた。
――許しの言葉
シルバの言葉もルシフェルにとっては許しの言葉に聞こえた。

