時折り、シルバと同じ種族の者が塔へ尋ねてくることがあったが、昔人づてに聞いた伝説のような話の凶暴で野蛮なイメージとは程遠く。
皆、控えめで穏やかに見えた。
古の血を引く種族はどの種族も人間より秀でた身体能力や魔力を持つというのは本当だということだが、ならば、何故彼らはこんな森に篭りきりなのだろうかと不思議だった。
「僕らは学んだのさ……人間に近づくことは良くないとね。 だから結界を張って侵入を防ぐ一方で、自分達も外にでないと掟を定めたのさ」
シルバはそう話してくれた。
シルバは今この森に棲む魔物たちの長を務めているらしい。
生き残り、ウィルダネスに上がった魔物たちを森に誘い統制をはかったのはシルバの先祖だという。
他の種族に比べ知性に秀で、力もあった狼の種族はそのまま代々森を治めてきたのだと……
「生き残った古の血を引く種族が少ないのは、何も嘆きの七日間だけのせいじゃないんだよ」
シルバの話によると、嘆きの七日間以前に、すでにその血はずいぶん狩られ、絶えようとしていたらしい。
人間の手によって……

