あれから五年。
ルシフェルはシルバの棲むあの塔で過ごしてきた。
シルバは古の血を持つ種族のひとつに属するらしい。
昔話や伝説の類で話を耳にしたことはあるものの、そのような存在が実在していることを、ルシフェルはこの森へ来て初めて知った。
森にはシルバと同じ狼の種族の者。
また、他の一族も棲んでいるらしい。
嘆きの七日間の後に、生き残り、ウィルダネスにたどりついた魔物は少なかったという。
古の血を継ぐ、それら少数の魔物たちは繁殖力が強くどんどんと勢力を増していく人間から逃れるように森へと身を隠し、そのまま今に至るらしい。

