漏れた吐息にとどまらず、小さく肩を震わせクスクスと笑いつづけるミカエルに
「何故笑う?」
ジュードはさらに顔をしかめる。
そんなジュードに構うことなく
「……ふふ……そうじゃない。そんなんじゃないわ」
ミカエルは笑いながら身体を傾け、ジュードの膝の上に倒れこむ。
「意味がわからん……俺の訊いたことへの答えになってない」
頭上でぼやくジュードの声を聞きながら、ミカエルはジュードの膝を枕にしたまま、細い腕を目の前の腰に巻きつけ
「頭、撫でて」
そう言った。
大きな溜息をつきながらも、望み通り大きく冷たい手が自分の頭に置かれるのを感じ
「会った時に言ったとおりよ……その手が欲しいだけ」
廻した腕と、ジュードの腹部の隙間に顔を埋めたままミカエルはジュードの方を見ることなくそう言った。
仕方ないといった風情ではあるが、ゆっくりと頭を撫でるその手に、ジュードには気付かれないよう小さく安堵の息を吐き、目を閉じる。

