――ミカエルと再会したのはつい二週間ほど前のこと。
アルマを出て以来、エルカイザ国内の街や村を転々としていたジュードは、北方の街カラドルに来ていた。
元々行商が盛んだった国境際の大都市は、様々な人種の人間が入り乱れて住んでいる。
エルカイザでは目立つ容姿のジュードが居てもさほど違和感がなく、余計な詮索をする者もおらず居心地は悪くなかった。
用心棒という名目で、ある宿屋に居付いていたジュード。
そこには、無口だが悪意は感じない素朴な主人と、客商売をするために生まれついたかのように饒舌で人当たりの良い夫人。
そして悪戯好きで元気がいい少年が一人。
少年はジュードを怖がることもなく、寝ているジュードの枕もとにトカゲを忍び込ませたり、顔に落書きをしたり。
兄弟がいなかったせいか、遊び相手だとジュードのことを認識していたようだ。

