ドアの向こうに消えた、歳相応の無邪気さと明るさを覗かせる瞳を持つ、健康そうで快活な少女。
リエルももしも、普通に幸せに育ったならば、ああなっていたかもしれない。
ガーフィールドに依頼を受けて向かった武器商人の暗殺の現場で出会った少女。
初めて出会ったときに、リエルはすでにこの世のあらゆる苦しみを知った目をしていた……
あの少女よりもっと幼かったというのに。
小さな心と身体に傷を負った少女が、何故自分なんかにすがってくれたか。
それはいまだにわからない。
気まぐれに拾って連れ帰っただけだった。
だが、ただひたすらに自分を求める小さな手が、控えめな笑顔が……いつのまにかとても愛しくなっていた。
自らが犯した失態がために巻き込まれて命を落としても……最後まで、疑うことなく血に汚れたこの手を握り締めていたリエル。
何も理由を話さず頼みごとだけ押し付けて姿を消した自分の部屋で、リエルの亡骸を見たガーフィールドはどう思ったろう?
もしかすると、自分が殺したと疑っているかもしれない。
それでも、ガーフィールドは残った花を大切にしてくれていた……きっとリエルも丁重に葬ってくれたに違いない。

