開け放しになったドアの隙間から、まだ消されていない店内の明かりが漏れて。
そこから覗く、灯りに照らされた店内の風景に……ジュードは一瞬息を呑んだ。
店内のあちこちに置かれた、小さな白い花が咲く鉢――
途端に胸が強く締め付けられる。
(リエル……)
無くしたぬくもりが持つ名が、瞬く間に思考を支配していく。
あれはリエルが大切にしていた花。
すっかり数を増やし、沢山の鉢に分けられて……自分が彼女に買ってやったものがどれなのかはわからないが。
(やはり、人がいいな……ガーフィールドは)
彼女の亡骸とともに託した花を、店主は大切に育ててくれていた。

