糧であり、獲物である彼らは実に興味深い。
命を繋ぐためにも、餌のそばにいるのは当然なのではあるのだが……
理解不能な部分もあるとはいえ、自分とよく似たその種族のなかに紛れて暮らすのはそう悪いものではない。
この大陸に居ついて以来、自分と同じ種族にあうことがなかったせいもあるかも知れない。
言葉を交わせ、表情も豊かな彼ら。
仲間に近い感覚すら覚えるようになっていたのかもしれない。
深く関わり過ぎないようにはしていたものの、時に快く思える者もいる。
そのような者達から命を奪ってしまうのに躊躇いを覚える自分に気付く。
逆に……
捕食者という自分の立場から見てすら、おぞましく吐き気を及ぼすような行為を、平気で行う者たちもいる。
そういう者の命を奪うのにはなんの躊躇いもいらない。
自らと同種の同じ人間達を平気で傷つけるような醜悪なものに、不快感こそ感じれど、憐憫の情など沸く余地もありはしないだろう……
元々は自分にとっては餌でしかない存在。
むしろ、一部にためらいを覚えることすら不思議でならないくらいなのだから……

