『人間』は不思議な生き物だ。
ソレを目にするようになるまでに、ジュードは随分と己の素性を知るようになっていた。
神に呪われた……古い血を持つ種族のひとつに属すること。
世界が沈む以前の記憶も断片的にではあるが少しずつ取り戻しつつある。
自分達、古い血を持つ種族は。
己の命の糧として人間を傷つけたり時には命を奪うこともする。
だが、それは彼らが自分達にとっては獲物であるからだ。
だが、人間は……
糧にするわけでもなく、同じ種族であるにもかかわらず傷つけあい、殺しあう。
他のあらゆる生物の中でも、それは際立って特異に見えた。
どんな動物よりも高い知性と文明をもちながらもその行動はどんな動物よりも矛盾に満ちている。
複雑で、理解しがたく。
弱くて、強くて。
賢く、愚かな種族。
