――ああ
また、泣いてる……
どこからか、聞こえてきたかすかな声に耳をすませる。
目を閉じたまま、ミカエルは時折聞こえる声の主を思った。
言葉を交わしたことすらない。
でも、あの日……真っ白な壁に囲まれた部屋で新しく生まれ変わった日。
うっすらとした視界に見えた。
隣のベッドに、自分と同じように沢山のチューブやコードに繋がれて眠っていたあの子。
真っ赤な髪が印象的な……
何かにうなされるかのように苦悶の表情で眠る顔に、きっとこの子も自分と同じように生まれかわることを選んだのだと、直感的に感じた。
同じ年頃。
目がちゃんと醒めたら……話してみたい。
そう思った。
だけどその機会は得ることの無いまま、彼女は姿を消した。
今ごろどうしているだろう?
ずっと気になっている……新たな身体に命を繋ぐため、同じタンクから流れる赤い液体を、共にチューブを通して分け合った存在は、姉妹とも呼べるだろう。

