「……? 何だ?」
不意に膝の上に落ちてきた重みに、ジュードはその原因を見おろすために少しあごをひく。
「頭、撫でてくれる?」
ベッドに腰掛けた状態から身体を横に傾けて、ジュードの膝に頭を乗せたミカエルは、そういって目を閉じた。
自分の膝を枕にしようとしている少女に対し、ジュードは苦笑混じりに
「なんだ、寝つきが悪いからきたのか……やっぱりまだ子供だ」
皮肉を言いながらも、要求どおりに滑らかな金糸の髪を撫でてやる。
こうしていると、穏やかだった懐かしい日々が思い起こされる。
ほんの僅かの短い間だったが、安らぎを覚えた日々。
得体のしれぬ化け物のような自分の隣で、からだを丸め静かに寝息をたてていた。
買ってやった小さな白い花を大切に育てていた、今はもういない少女。
守ってやれなかったかわいそうな……リエル。
思い返せば今も痛みを覚える。
だが同時に蘇る一緒に過ごした時のぬくもりは今も。
果て無き孤独を生きるジュードの冷え切った心を、柔らかな温度を持って暖める。
だから……求めずにいられない。
もしかしたらと。
孤独を癒すかもしれない時を与えてくれる存在を。
求めずにいられない――

