ほんの少しだけ眉をしかめただけで再び花へとジュードが視線を戻すのを見ながら
「あの子も花を育ててた?」
そう言おうとして……だが、その言葉を飲み込んだ。
あの日最後に見た彼の姿。
儚く崩れ落ちた小さな身体を抱きしめ、座り込む後ろ姿。
寸前まで感じていた底知れぬ存在感とは裏腹に、それはとても弱々しく、寂しげに見えたのを思い出す。
何故、どんな経緯があったかは知らないが、ジュードはあの小さな力なき少女をとても大切にしていた。
出会った時にすでに零れ落ちようとしていた少女の命。
それを嘆き悲しむ気持ちが、少女の身体を抱え、引き止めるかのように頬にそえられたジュードの手からひしひしと伝わって……
それが、ミカエルの過去の記憶を呼び起こした。
だから……

