エルカイザの守護天使とよばれる機械人形がふくれっつらで近づいてくる。

その様に苦笑まじりにジュードはベッドから身体を起こした。

「成人してようがいくつになってようが、俺から見れば子供同然だ」

言いながら、ベッドの上に投げ出していたコートのポケットをまさぐり、煙草を抜き取り火をつける。

「そりゃそうでしょうけどね」

煙を吐き出すジュードの隣に腰を降ろし、ミカエルはフゥ、と吐息をもらすと

「なんだかうなされてたわよ……吸血鬼でも夢を見るの?」

ジュードの青白い頬にかかる、寝起きで少し乱れた、だが、艶やかさを失わない滑らかな長い黒い髪に手を伸ばし。

肩に流すようにスッと撫で、その横顔を覗き込む。

「まあ、な」

ちら、とミカエルを横目で見やり答え、ジュードはすぐに視線を花鉢へと移した。

じっと、その小さな花びらを眺める横顔。