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「もうすぐ、会えそうです」



五年前と同じように墓石の前にたたずみ、アレックスは語りかけるように口を開いた。

ガーフィールドにもらったルーシー・マクドナルドの写真。

そして五年前クロードに見せられたルシフェルの写真。

それにやはり際立った相違は見られない。

あの日、ボルグと行動を共にしていたルシフェルの写真を見せられた時に感じた違和感は、日に日に大きくなった。

だが、クロードに問い詰めるのは何故かためらわれた。

ボルグの死を悼んで見せた悲しげな表情は本物としか思えなかったし、それとは別に、聞いてはいけないような何かを感じた。

クロードは本当にアレックスを事あるごとに気遣いつづけてくれたし、そんな彼を煩わせたいとは思わなかった。

彼自身も自分では想像もつかない程の重荷を背負っている。

ボルグに聞かされて知っていたからこそ、そんな彼に負担をかけたくないとアレックスなりに思った。