投げかけられた余韻そのままに、アレックスも何か腑に落ちないものを感じていた。
アレックス自身も今朝方早くに連絡を受けて戻って来たのだ。
戻って来た時には埋葬も済んでいた。
戦死者が出るのはしょっちゅうのことで、遺体は回収され次第埋葬され、その場で葬儀が行われる。
クロードからの連絡があったときにはすでに遺体は回収されていたのだろうから、アレックスがカラドルから戻るまでに葬儀は終わっていても不思議はない。
だが、墓石に刻まれていた戦没地はアリルア村。
アリルア村からアルマまでは半日以上の距離がある。
発見され、遺体が回収される時間を考えれば、ボルグが昨夜ここに来たというのはどこか無理のある話。
(何か……おかしい?)
目の前の紙に視線を落とし、考えをめぐらしているアレックスを見つめていたアナベルが口をひらいた。
「ごめんなさい……読んでしまったの」

