早朝、常に携帯している小型通信機の普段と違う電子音に跳ね起きたアレックスが目にしたのは
――至急アルマに戻れ
というクロードからの指令。
まだ任務にとりかかろうとした矢先で何の情報も得ていない。
だがクロード直々の、しかも緊急コードを使っての指令。
それは何よりも優先すべきものである。
偵察を命じておきながら至急呼び戻すほどの何か……
何故だか、背中がザワリとするような感覚を覚えながら、せかされるようにカラドルを出てアルマに戻った。
ケルベロス本部にその足で直接向かったアレックスを出迎えたクロードの顔色は青白く。
暗く、物憂げな表情で……
力なく紡がれたクロードの言葉。
「ボルグが……」

