「何をしている、ラファエル! 早くとどめをさせ」 不意に背後から浴びせられた言葉に、少女は口元を引き締め、振り返る。 二人の後を追って建物から出てきたコーエンの姿があった。 「すみません」 短く謝罪し、再びボルグへ向き直る。 その瞳が、緑から……赤く変光していく。 あの時のルシフェルと同じように。 「……っ」 自分を襲うであろう攻撃に備え、ボルグは短剣を胸の前に構えた。 えぐられた脇からの出血に思ったよりも体力を奪われている。 避けることは出来ないと。 それだけは、充分に理解できた。