「コーエン博士は嘘は言ってない……」
今まで一言も発することの無かった少女が初めて、唇を開いた。
淀みの無い緑色の瞳でまっすぐボルグを見据え
「動けぬ足を動けるようにしてもらった。非力な腕に力を与えてもらった……生きる術すら知らなかったのを救ってもらった……それに報いているだけだ」
迷いのない凛とした声で。
「憐れみをうけるいわれなどない」
はっきりと言い切った。
そしてほんの少し首をかしげ
「自ら望んだんだ……何故……お前が泣く?」
不思議そうにボルグに問う。
「……」
ボルグは絶句した。
その事実の……あまりの悲しさに……

