「全てを決めたのはディーバ様だよ」



コーエンの口から漏れた名前……それを聞いたボルグの頬が、ヒクリと小さく痙攣した。

それを見たコーエンは満足そうに更に笑みを深め……観察するかのようにボルグの顔を覗き込む。

「このプロジェクトは王室が定めた取り決め、いわば国の意思といっても過言ではないのだよ。

……君は誰よりも国に忠誠を尽くしてきたはずだ。

沢山殺してきただろう? この国のために。

彼女達も同じようにこの国のために多くの成果を残していく。

守られているだけの脆弱な国民には彼女達のことは理解されないだろうが、君には理解できるはずだ、それがこの国のために最善の力であることが……

だからこそ君は真実を知っても、そんなことぐらいで揺らぐことはないと思っていたのだがね」

獲物を見つけた爬虫類のような嫌な光を帯びるコーエンの視線を避けるようにボルグは顔をそむけ、うめいた。

「彼女達はまだ子供だ……

俺達軍人は……国や弱き者のために戦うのは当然だ……だが彼女達は違うだろう?

理解などできるはず……」