黙って頷くアレックスの顔を見ると、ガーフィールドはカウンターの下から一冊の分厚い本を取り出した。
赤い皮表紙に金の文字で〔ウィルダネス創世記〕と書かれてある。
アレックスはそれを受け取り中に挟まれた茶封筒を抜き取ると、本をカウンターに戻し、その上に数枚の紙幣を置いた。
「いつもすみません」
「いやいやこちとらコレが商売だ」
礼を述べたアレックスにガーフィールドはニヤリと笑ってみせる。
アレックスは戸惑い気味の表情を浮かべ、その笑みを見つめた。
「……公的任務でないのに協力をしてもらって悪いという意味でですよ」
「いやあ、なんの。お前さんはちょっと昔の知り合いに似ているのでね。黒髪で青い瞳の……無愛想だが憎めん奴でな」
懐かしげな口ぶりで語るガーフィールドは、そこで小さくため息をついて
「不幸があってな……姿を消してもう随分なる」
老いてこけた頬に、寂しげな影が落ちる。

