トラックで戻る道すがら……

途中幾つかの小さな町や村を通り過ぎる。

少しずつ、闇が天上から影を伸ばし……薄暗くなっていく中。

家路を急ぐ子供らの後姿を横目に追い越しながら……

そういえば、彼女もまだ成人を迎えていない。

ふと、思った。

成人を迎えない……いわば子供である彼女が何故そこまで追い詰められねばならない。

守られるべきものが、自らの手を血で染めねばならない。

(何のために俺は戦ってきた?)

成人した男は兵役に就かねばならない。

それはずっと昔……戦争が始まった頃から長らく続くこの国では当然の定め。

二十歳の誕生日を迎えたボルグも、なんの疑いもなく兵役に就いた。

理由を考えることもなく。

やみくもに戦い。

敵を倒せば全てが良くなる……

家族のために国を守ることができる……

漠然とした思い込みから、ひたすら最前線で敵を殺すことに没頭した時期もあった。