ルシフェルは一直線に先ほどの銃撃戦に巻き込まれて倒れた親子の方へと駆けつけると、すでに死んでいるはずの母親の側に身を屈め、おもむろにその身体を横へとどかし……その下から何かをすくいあげた。

「まさか……」

思わず声が漏れた。

拡大した映像に映し出されたルシフェルの腕の中。

泣いているのだろう……ちいさな口をいっぱいにあけて、顔をくしゃくしゃにした子供が、身をよじらせるように手足をばたつかせている。

「生きて……たのか……」

よく見れば、母親は先ほど二度目に倒れた位置よりも少し移動していた。

最後の力を振り絞ったのだろう……

後から追って出てきて撃たれた子供の元へとたどりついていたのだ。

兄弟の中でも一番幼いであろう子供をかばうように身をかぶせて息絶えた母親の思い。

「そうか……助かって……」

胸を締め付ける熱さに声を震わしつぶやくボルグが見つめる中、映像の中のルシフェルは何かを子供に語りかけ、その腕にしっかりと小さな身体を抱きしめていた。










その頬を伝い、こびりついた赤い血を洗い流す


……涙。