「やめろ……戻れ、戻るんだっ!!」 聞こえはしないと分かっていたが、声にせずにいられなかった。 拳を握り締め、パネルを必死の思いで見つめるボルグの祈りもむなしく。 やまない銃声―― 両軍に挟まれた形で銃撃戦の渦中にいる民間人。 (何故……やめない!?) 唇を噛み締めるボルグが見守る中、母親の体がぐらりと揺れる。 弾は容赦なく、非力なその体を貫いた。 崩れるように、子供を抱えたまま地面へと倒れこむ…… 兵たちに向かい何かを叫んでいたルシフェルが、そちらを振り向き動きを止めた。