「妻にするのに、手料理が上手なのは男にとって得点が高いのかもぉ」

マキちゃんが、さっそく貰ったお菓子の箱を開けながら、明るい声を出した

「料理なんてねえ…食べられればそれでいいのよ!」

レイちゃんが、マキちゃんを睨みながら低い声で言った

「レイ先輩…あの女性が来るとちょー怖いんですけどぉ」

マキちゃんがぶるぶると身震いする振りをしながら、お菓子を箱を持って避難していった

「不機嫌にもなるっつうの。何なのよ。見合いして2週間だっけ? 毎日欠かさず、ナースステーション用にお菓子と、馬鹿越智のために弁当を持って来てさ。そんな時間があるなら、仕事しろっつうの。ああいう女って大嫌い。男のためにワタシ、頑張ってるんですぅ…みたいな態度」

レイちゃんはポンポンと越智先生の見合い相手、椎名 みちるさんの悪口を吐き出した

「お前こそ、少しは料理の腕を磨けよ」

レイちゃんがファイルで、頭をバシッと海東君に叩かれた

「卵焼きに珍しくチーズが入ってるのかと思って食ったら、卵の殻だったぞ!」

「うるさいなあ。文句言うなら、もう作らない!」

レイちゃんは、ぷいっと横を向いた

海東君は肩を竦めると、ソファに座ってる女性に目をやった

「これまた…清楚なお嬢さんだなあ。記憶のねえ馬鹿越智にはお似合いだな」

「あんた、デリカシーっていう言葉を知らないでしょ! 陽菜の前で失礼な発言をしたら、首を絞めてヤル」

海東君のわき腹にレイちゃんがグーパンチをいれた

相変わらずな二人だね

あたしは思わず笑みが零れる

「レイちゃん、平気だよ」

「全然、平気じゃないよ! 私が平気じゃないっ。もう苛々して、毎日生理前って感じで…夜も眠れない」

「しっかり寝てる癖に」

海東君の突っ込みに、レイちゃんが近くにあったファイルで海東君の頭を叩いた

「いってぇーな!」

海東君が頭を抑えると、レイちゃんを睨んだ