他の男たちも深々と頷いた

そっか

越智君、約束を守ってくれてたんだ

あたしが、心臓疾患で困っている人たちを助けてって言った言葉を覚えていてくれたのかな?

それとも越智君のお父さんも心臓外科の有名な医師だから…後継者として勉強をしていたのかな?

あたしはカシスオレンジを飲みほした

「今夜は来ないかもね」

あたしは、肩を竦めるとレイちゃんに微笑んだ

「ええ? だって一応あいつが男子側の幹事なのに!」

レイちゃんが、頬を膨らませて不満そうな声をあげた

「だって、遅れるって言いに来た時、軽部先生と一緒に居たし、外科部長のところに用があるって言ってたよ?」

あたしは空になったグラスをずっと見つめた

久々にゆっくりと話ができるかな? なんて期待してたんだけどなあ

会ってなかった7年間の話しとかできたらいいなあ…なんて思ってたけど、今夜は無理な気がする

越智君が言い難そうにした理由が、なんとなくわかっちゃった

期待してたあたしって馬鹿みたい

突然キスされて、ドキドキして……まだ越智君があたしのことを好きなんだって勝手に思い込んでた

あたしがまだ越智君を好きなように、越智君もまだあたしを好きでいてくれてるって勘違いして

今日のコンパにちょっと喜んでた

あたしは席を立つと、鞄を掴んだ

「あたし、そろそろ帰るね。また明日ね。二日酔いで、仕事に支障をきたさないでよ?」

「はーい」

酔ったマキちゃんが手をあげて、陽気に返事をした

「あ…じゃあ、私も帰るわ」

レイちゃんも鞄を手に持つと、あたしと並んで店を出た