「じゃあ、どうすればいいんだ……っ!」

 いつも落ち着いた弓の名手が、どうにもならないいらだちを吐き捨てる。
 おだやかな銀色の騎士も端正な顔をゆがめて、血まみれの戦友を見守っていた。

 彼ら三人がいっしょにいるところは私もよく目にしたことがある。ただの隊員以上のつながりがそこにあるのは明白だった。

 ──ああ、私。どうして……

 私を護るなら自分をいちばんに護れ!って言ったのに。
 どうして、こんなことに……

 ちがう。

 ちがう。

 私がなにもできなかったから。
 なにも動くことができなかったから。

 なにもかも私の……


 私のせいだ!


 はいつくばるように地べたにへたりこんだ私には、もはや自分を責めることくらいしか残されていなかった。自分を責めたところでアルスを助けられるわけじゃないのに。

 そんなどうしようもない精神状態のところに、ロキはさらに追い討ちをかけるような言葉をつぶやいた。

「────させる、しか……」

 聞き取れるかあやしいくらいに、か細い声。
 けれど、なぜかハッキリと耳の奥まで届いてしまった。