「無理、なんです……」
「だからどうして無理なんだ!?」
つかみかかるような勢いでベンが問いつめる。ジークリードがそっと二人の間に立った。
「生命力が尽きかけている瀕死の者に《癒しの大気》では不充分。《女神の息吹》が適切だ」
淡々とした説明に「もっとわかりやすく言え!」とさらにいきりたったベンを見かねて、今度はマリオンが言葉をつけ足す。
「傷が深すぎるんだよ。傷が大きいほど治すにはたくさんの魔法力と腕がいる」
二人の神官の話を要約すると。
ロキが唱えた《癒しの大気》は傷を治すだけで、体力回復はできないらしい。
体力とはいわゆる、生命力のこと。
瀕死の場合は、大きな傷を治すだけの生命力も同時に回復させないといけないらしい。
そして、ジークリードが説明した《女神の息吹》は、傷の治癒と体力回復を同時にできる全快復呪文で、回復系の最も難易度が高い魔法
──ということだった。
「自分は攻撃系専門ゆえ回復系は全て未修得だ」
淡々とした声にほんの少し苦味を混じらせてジークリードが言った。
「おれは魔法力使いきったし、そもそも回復は《癒しの大気》しかできないし。ロキでも《女神の息吹》は……」
マリオンはロキに視線を移す。
「無理です……神官長様くらいでないと……」
と、ロキは弱々しくうなだれた。
「治癒をかけ続けても……本当にどうにもならないのかな?」
つづくレガートの問いにも
「治癒が完了する前に、ロキの魔法力か、彼の生命力が尽きる。下手に魔法をかければ長時間苦痛を味わわせるだけだ」
ジークリードにあっさりと否定された。
「だからどうして無理なんだ!?」
つかみかかるような勢いでベンが問いつめる。ジークリードがそっと二人の間に立った。
「生命力が尽きかけている瀕死の者に《癒しの大気》では不充分。《女神の息吹》が適切だ」
淡々とした説明に「もっとわかりやすく言え!」とさらにいきりたったベンを見かねて、今度はマリオンが言葉をつけ足す。
「傷が深すぎるんだよ。傷が大きいほど治すにはたくさんの魔法力と腕がいる」
二人の神官の話を要約すると。
ロキが唱えた《癒しの大気》は傷を治すだけで、体力回復はできないらしい。
体力とはいわゆる、生命力のこと。
瀕死の場合は、大きな傷を治すだけの生命力も同時に回復させないといけないらしい。
そして、ジークリードが説明した《女神の息吹》は、傷の治癒と体力回復を同時にできる全快復呪文で、回復系の最も難易度が高い魔法
──ということだった。
「自分は攻撃系専門ゆえ回復系は全て未修得だ」
淡々とした声にほんの少し苦味を混じらせてジークリードが言った。
「おれは魔法力使いきったし、そもそも回復は《癒しの大気》しかできないし。ロキでも《女神の息吹》は……」
マリオンはロキに視線を移す。
「無理です……神官長様くらいでないと……」
と、ロキは弱々しくうなだれた。
「治癒をかけ続けても……本当にどうにもならないのかな?」
つづくレガートの問いにも
「治癒が完了する前に、ロキの魔法力か、彼の生命力が尽きる。下手に魔法をかければ長時間苦痛を味わわせるだけだ」
ジークリードにあっさりと否定された。


![その信頼は「死ね!」という下種の言葉から始まった[エッセイ]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.761/img/book/genre12.png)