◇ ◇ ◇
騎士という立場から、王女相手に本気で手合わせしてくれる者はそういない。
アルスは私と素直に向き合ってくれた数少ない一人だ。
そんな人たちともしかしたらいっしょに戦えるかもしれない、と思うとそれだけで心が躍った。
「シルバもつれていくの? エリーゼ」
はずんだ足どりで馬車に乗りこむと、となりの少女が抱きかかえている黒いけむくじゃらに気づいた。
「ええ。おじいさまにはなつかないし、邸にのこして悪さしないか心配だから。いいかしら?」
「私はかまわないわよ。ねぇ、シレネ?」
向かい側のシートに顔を向ける。
「はい。お世話が必要でしたらお申し付けください。責任を持ってお預かり致します」
「ありがとう。わたくしの言うことはよく聞くから手はわずらわせないつもりよ」
騎士という立場から、王女相手に本気で手合わせしてくれる者はそういない。
アルスは私と素直に向き合ってくれた数少ない一人だ。
そんな人たちともしかしたらいっしょに戦えるかもしれない、と思うとそれだけで心が躍った。
「シルバもつれていくの? エリーゼ」
はずんだ足どりで馬車に乗りこむと、となりの少女が抱きかかえている黒いけむくじゃらに気づいた。
「ええ。おじいさまにはなつかないし、邸にのこして悪さしないか心配だから。いいかしら?」
「私はかまわないわよ。ねぇ、シレネ?」
向かい側のシートに顔を向ける。
「はい。お世話が必要でしたらお申し付けください。責任を持ってお預かり致します」
「ありがとう。わたくしの言うことはよく聞くから手はわずらわせないつもりよ」


![その信頼は「死ね!」という下種の言葉から始まった[エッセイ]](https://www.no-ichigo.jp/assets/1.0.761/img/book/genre12.png)