「自分を一番に護りなさい」


 凛と放つ。
 三白眼のアルスが四白眼になるほど見開いていた。

「だけど、姫様をお護りするのがオレの役目ですし……」

「私は二番目でいいのよ。だいたい自分の命も護れないような者が他人の命まで護れるの?」

「それは……」

「私の騎士なら、それくらいやってのけなさい!」

「ええ!?」

「これは『命令』よ。いいわね?」

 有無を言わさずウインクして見せると

「は、はいっ!!」

 赤い髪が跳びはねるように力強くうなずいた。