Tirnis side
********************

 気がつけば、世界は希望を求めていた。
 なんの力も持たない小娘を偶像化するほどに。
 すがれるものならば、きっと、なんでもよかったのだと思う。

“私”でなくても。

 年を経てじょじょに伸びていった髪の重さを、けだるく感じ始めたのはいつだったか。

 ただ嘆くのも性にあわない。

 初めから、私に、立ち止まって嘆くことなど許されていないのだから──……