「きゃあ!」

 最後の瞬間、叩きこんだ一撃はあっさりかえされて体が宙に浮いた。その勢いのままふっ飛ばされてしまった。

 初めて剣を交えたあのときのように。

 けれど鬱蒼(うっそう)とした茂みがクッションになり、衝撃はあのときほどではなかった。

 もしも木の幹にぶつかっていたら、ただではすまなかった。たまたま茂みにふっ飛ばされて助かった……わけではないだろう。

 おそらくは──……

「武器の特性と自身の長所を活かした速攻。戦法は悪くない。
 だが、攻撃の型がワンパターンだ」

「攻撃がワンパターン?」

 ガサッと茂みから顔を出す。

「お前の連撃は一定のリズムがある。『防いでくれ』と言っているようなものだ」

「そうだったんだ……気づかなかった」

 彼の言葉にうなずきながら、体中についた木の葉をはらってゆっくり起きあがった。

 今、確信した。手合わせの途中、脳裏をよぎった考えが正しかったことを。

 彼は私の実力をちゃんとわかっていた。

 初めて剣を交えたときと、賭けをしたとき……たったそれだけで見極めた。そのうえで、寸止めではなく、私が反応して受けとめられるギリギリの速さと強さに加減して攻撃をかえしていたんだ。

 真剣でやると言ったことも、これに関係している。

 彼自身が慣れている剣を使ったほうが私のギリギリラインを見誤ることがない。自分の剣の重さも長さも、それでくり出す剣の速さも強さも、じゅうぶんすぎるくらいわかっているのだから。

 なにもかもすべて計算ずくだった。
 最後の一撃で衝撃がやわらぐ茂みへふっ飛ばしたのも、もちろん計算。