「!?」

 連撃の雨を風のようにすりぬけ襲いかかってきた!

 目の前ではじけ飛ぶ閃光。
 ぶつかる刃を伝って体中に稲妻が走りぬける。

(ちょっ、どこが寸止め!?)

 冷や汗が噴きでた。
 たった一回まばたきをする──そんなわずかなタイミングのズレがもしあったなら腕と胴体がバッサリ斬り離されていただろう。

 こんな容赦ない騎士なんて今まで一人もいなかった。

 ……いや、手加減はしているはずだ。彼の剣は、重たい鎧を着た人間をふっ飛ばすほどの威力があったのだから。

(まさか……)

 ある考えが一瞬脳裏をかすめた。答えを求めるように見あげると、相変わらずの涼しげな顔で口の片はしを上げて笑った。「そうだ」と肯定するかのように。

「もう(しま)いか?」
「くっ……、まだまだぁ!」

 竜巻のように回転しながら彼の背後に遠心力を乗せた一閃!
 だが、後ろも見ずに剣を背にして受けとめた。

 ──それも計算のうち! その体勢で連撃を避けきれる!?

 広い背中を目がけてふりかぶる──!