「あ、久保田さんが会員カード忘れてたから」 大雅は、静かにカードを私に渡して、そのまま走り去った。 「あ、ありがとう!!」 私の声が届いたはずやのに、振り向かんかった。 大雅、誤解した? まさかな。 コーチと生徒やし。 「じゃあ、失礼します!!」 私は走り出した。 おい待てや!ってコーチが言ったけど、聞こえへんフリして走った。 大雅、どう思ったやろ。 誤解されたら嫌や。 大雅は、カードを渡しに来てくれた。 大雅、ごめんな。 素直になれん私を許して。