【完結】不良彼氏の甘い誘惑

「あたしは大丈夫だから、心配しないで」


沙紀はそう言って、俺の服の裾を掴んだ。





だけど……


沙紀の体はまだ少し震えていた。







「沙紀……大丈夫か?」

「……うん」





くそっ―――


沙紀がこんな目に合ったのは……みんな俺のせいだ。







俺が、沙紀の側に居なかったせいで……


沙紀はこんな目に合ったんだ。







俺は……


サイテーだ。





好きな女すらまともに守れない、惨めなヤツだ。

……情けないヤツだ。







俺にはもう……


沙紀を守る資格なんてないんだ。





沙紀の側に居る資格なんか、ないんだ。