「ヒック……そっ……まぁ……」


沙紀は泣きながら俺の名前を呼んだ。





「……沙紀」


俺は沙紀をギュッと抱き締めた。







「爽真……怖、かった……」


沙紀は俺の腕の中でそう呟いた。





「そうだよな……怖かったよな」


思わず、沙紀を抱き締める腕に力が入った。







「ヒックッ……うん」


沙紀は俺の制服の裾をギュッと掴んだ。





「……ごめんな。沙紀」

俺は小さな声でそう呟いた。







「……ううん」


「守ってやれなくて……ほんとにごめん」



俺は沙紀の頭を優しく撫でた。





「ううん……平気。悪いのは……爽真じゃない、よ」


沙紀は掠れた声でそう言った。







「沙紀……」


俺は沙紀をギュッと力一杯抱き締めた。