俺はその時、どうしたらいいか分からなかった。

沙紀が俺を拒んだのは……初めてだったから。





あんなに泣いてる沙紀を見ても……


俺はなんにもしてやれなかった。







ただただ、沙紀の目の前で目を泳がせるしかなかった。


……沙紀が俺を拒んだ。




ただただ、そのことが頭をよぎる。


だけど、その時思った。






沙紀はきっと……


俺を他のヤツ等と勘違いしてるんだって―――





きっと……


あんなことになったから、それがトラウマになっただけなんだって―――





沙紀をジッと見つめながら、そう思った。





―――――…







「沙紀……」


俺は目の前で泣いている沙紀を見てそう呟いた。