だけど、沙紀のことはほんとに好きだった。


……大好きだった。





笑った顔も、怒った顔も、泣き顔も―――


……全部、好きだった。







沙紀だけは絶対に守る。

そう誓ったハズなのに……その誓いも、儚く散って行った。







沙紀が族のヤツ等に捕まったあの日……


俺が行ったときにはもう、沙紀は傷だらけになっていた。





服も乱れていて、顔や足にも無数の傷があった。

そしてあの時、沙紀は声を張り上げて泣いていた





俺は沙紀を抱き締めようとした。


……だけど、沙紀はそれを拒んだ。





泣きながら、掠れた声で「触らないで!!」


そう言ったんだ―――