【完結】不良彼氏の甘い誘惑

「……アンタがお姉ちゃんのことを捨てたからよ!!」


そう言った瞬間―――





……爽真君の表情が強張った。







「……はっ?」


「とぼけないで!!あたし全部知ってるんだから!!」



あたしはそう言って爽真君を見つめた。





「…………」


何も言わない爽真君にあたしは更に続けた。







「……中川沙紀」


「?!」



その名前を出した時、爽真君は目を見開いた。





「……知らないとは言わせないから」


「なっ……」


「アンタは……お姉ちゃんのことを捨てた」


「……それは違う」


「はあ?何が違うの?」

「俺は……沙紀を捨てた訳じゃない」


「何言ってるの?捨てたんじゃない!!」


「違う。捨てた訳じゃない」



爽真君はあたしから目を反らした。